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不動産テックは自分たちで起こす。現場と二人三脚で創るザイマックスのAI開発

こんにちは!私たちザイマックスグループは、オフィスビルや商業施設などの不動産に対...

投稿者:ごんすけ

こんにちは!私たちザイマックスグループは、オフィスビルや商業施設などの不動産に対して、プロパティマネジメントからビルメンテナンス、コンサルティングまで、ワンストップで価値を提供する事業を展開しています。

「不動産業界」と聞くと、アナログなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、その裏側では、建物の価値を維持・向上させるために、日々膨大なデータが動いています。中でも「建築図面」は、まさに情報の宝庫です。

ただ、その多くはPDFや紙のまま眠っているのが現実...。この貴重な資産を、テクノロジーの力で活用できないか?

そんな想いから、「ないなら、自分たちで作ってしまおう!」の精神で、AIを活用した図面解析ツールの内製プロジェクトがスタートしました。今回は、不動産のリアルな課題に、自分たちのリソースだけで挑んだ開発ストーリーをご紹介します!

開発したのは「AI図面解析ツール」、その正体とは?

私たちが開発したのは、PDFの建築図面をブラウザにアップロードするだけで、そこに描かれた設備(トイレなど)の数や、部屋の面積をAIが自動で読み取ってくれるWebアプリケーションです。

このツールが、私たちの多岐にわたる事業の現場で、こんな風に活躍しています。

  • ビルメンテナンス: 全国の担当者が行う建物の維持管理コストの見積もり(積算)が、驚くほどスピーディかつ正確に。
  • プロパティマネジメント: テナントの入れ替えに伴う面積の確認や資料作成が効率化。
  • オフィスコンサルティング: お客様のオフィスレイアウト変更計画を、データに基づいて素早く提案。

AIには、オープンソースである「YOLOv8」を活用。物体検出技術でトイレなどのシンボルを正確に数え上げ、セマンティックセグメンテーション(領域認識)技術で部屋の形状をピクセル単位で認識し、面積を算出します。

こだわりは「現場で本当に使われる」こと

私たちが目指したのは、単なる技術の押し付けではありません。AIが出した結果を、エンジニアではない現場の社員が直感的に確認・修正できるUI/UXを徹底的に追求しました。「AIのサポートを受けながら、最後は人間が納得して使える」――この思想が、ツールが現場に浸透する鍵となりました。

なぜ「外部ツール」ではなく「内製」を選んだのか?

このプロジェクトの最大のポイントは、企画から開発、運用まで、すべてを自分たちのリソースで完結させたことです。その背景には、私たちのカルチャーが色濃く反映されています。

  • ① 自分たちの事業課題は、自分たちの技術で解決する
    これが私たちの基本的なスタンスです。不動産管理の現場には、教科書通りの解決策が通用しないユニークな課題が溢れています。その課題を身に染みて理解している私たちが作るからこそ、本当に価値のあるツールが生まれると信じています。
  • ② 現場との圧倒的な「近さ」
    開発チームには、実際にツールを使う業務部門のメンバーも参加しました。「こんな機能が欲しい」「ここの操作性が...」といった現場のリアルな声を、その日のうちに開発に反映する。この高速なフィードバックループは、内製ならではの最大の強みです。
  • ③ 「データ」という最強の資産
    私たちの社内には、これまで手掛けてきた案件の膨大な図面データが蓄積されていました。そのうち約4,000枚にも及ぶ図面にアノテーションを行い教師データとしてAIに学習させることで、他社には真似できない、私たちの業務に最適化された高精度なAIモデルを育て上げることができました。

開発の裏側:少数精鋭で挑んだ技術スタック

このツールは、特定の技術部門だけでなく、情報システム、業務、管理といった様々な部門のメンバーが集結した「One Team」で開発されました。

  • AIモデル: YOLOv8を、社内の多様な図面データでファインチューニング。図面の縮尺や密度がバラバラでも精度を維持できるよう、画像を分割して処理するなどの工夫を凝らし、適合率・再現率95%超えを達成しました。
  • インフラ: システムは、メンテナンス性と拡張性を重視し、クラウドネイティブな「疎結合アーキテクチャ」で設計。特別なPCやソフトは一切不要で、ブラウザ一つあれば、全社の誰もがどこからでも使える環境を実現しています。

そして実際つくったアプリがこんな感じです

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1つのツールがもたらした、次への広がり

導入後、コスト見積もりにかかる時間が半減するなど、定量的な効果はもちろんのこと、それ以上に大きな成果は、このツールが社内のDXに対する意識を変えるキッカケになったことです。

このツールは、元々全国にいるビルメンテナンス部門の積算担当者向けに開発したものでした。しかしリリース後、プロパティマネジメントの現場担当者など、当初の想定を超えた部署でも設備の数え上げや面積確認のために着実に活用されていることがわかってきました。

「うちの部署でもっと活用したいから、こんな機能を追加してほしい!」

こうした現場からのポジティブなフィードバックが数多く寄せられる中で、私たちの挑戦は次のステージへと進んでいます。現在、このツールの技術を応用し、シンボルマッチングなど他の画像解析技術も組み合わせながら、図面そのものを構造化・データ化するという、より高度な取り組みがまさに進行中です。

"図面の構造化"の先に見据える未来

私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。1つのツール開発で得られた知見と、現場からの声援を力に変え、今は図面情報の構造化に取り組んでいます。

これが実現すれば、単なる積算支援に留まらず、図面情報を活用した新たなサービスの創出や、より精度の高いデータドリブンな不動産経営の実現に繋がります。長期的には、この取り組みを不動産の価値を最大化するためのデータ基盤へと昇華させていくことが私たちの目標です。