本記事では、ザイマックスグループ初の快挙となった、サテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」の入退室システムにおける 「特許取得」 の裏側について紹介します。
実はこのシステム、今から約7年前、まだ世の中にビジネスユースのスマートロックの仕組みがほとんど存在しなかった時代に、デジタル部門と事業部が「ないなら作るしかない」と手探りで開発したものでした。 当時の技術的な挑戦と、時を経てその独自性が認められるまでの「逆転劇」をお届けします。
1) 「20倍の成長」に耐えうるシステムを(2017年の開発秘話)
まず、今回特許を取得したZXY(ジザイ)のシステムについてご紹介します。 ZXYは無人のサテライトオフィスであり、会員情報に紐づいた二次元コードを拠点出入口のタブレットにかざすことで解錠される仕組みです。
開発が始まった2016年当時、会員数はまだ2万人程度でしたが、事業担当からの要望で「将来40〜50万人の会員規模になっても耐えられる設計」を目指すことに。 出来合いのシステムでは安定性や連携に限界があったため、AWSとデバイスを組み合わせた完全内製開発に踏み切ることになりました。
ここで採用されたのが、当時はまだ個人の工作用途というイメージが強かった 「Raspberry Pi(ラズパイ)」 でした。
Raspberry Pi(ラズパイ)
「ビジネス用途での大規模展開の実例は皆無、無人運営なんてもってのほか」という状況下、常時稼働させても発火等の事故が発生しないか温度測定を繰り返すなど、泥臭い検証を経て実装されました。
【システム構成のポイント】
・クラウド連携: 現地タブレットがAWS上の会員・予約情報と照合し、解錠可否を判断。通信用ゲートウェイがサーバの解錠指示の有無を確認し、電気錠に信号を送る。
・KeepAlive: AWSとゲートウェイ(ラズパイ)間で定期的な通信確認を行い、切断時には自動で「パニックオープン(常時解錠)」状態にするなどの安全策を実装。
・さらに正常系システムがダウンした場合には別経路で解錠できるバックアップシステムも構築。
ZXYシステムの簡易構成図
2) 7年後の危機と「新規性の壁」
こうして2017年末にシステムは構築され、利用開始されたのですが、特許取得のプロジェクトが動き出したのはそれから5年以上経過してからのことでした。 きっかけは「競合他社に解錠の仕組みの特許を取られたら、自分たちのシステムが使えなくなる」という防衛的な危機感です。
しかし、特許の専門家である弁理士先生の反応は厳しいものでした。 特許取得には、世に知られていない「新規性」と、容易に思いつかない「進歩性」が必要です。リリースから7年が経過しているジザイのシステムでは「新規性」を認められる可能性が低く、類似サービスも増えているため「進歩性」も認められにくい。「一般論として、取得は難しい」と宣告されてしまったのです。
3) 逆転のカギは「泥臭い機能の組み合わせ」
「類似サービスも増えている」、つまり「よくあるシステムである」という評価を受けた我々は逆に燃え上がります。我々が作り上げてきたシステムはありきたりのシステムではない!と。
システムの独自性を証明するために、運用の中で磨き上げられた「機能の組み合わせ」に着目しました。
単なる「二次元コードで鍵が開くシステム」というだけでなく、
- 予約時間外の課金ロジック
- システムダウン時のパニックオープン(一斉・常時解錠)機能
- 現地ボタンでの一時入退室制御
これら複数の機能を組み合わせることで、事業運営に不可欠なシステムとしての「進歩性」を主張したのです。 特に難航したのは、特許の権利範囲を定める「請求項(クレーム)」の作成です。法務担当を含む特許取得チームが約10ヶ月かけて難解な仕様書を読み解き、「自分たちの技術が正しく、かつ権利として強く表現されているか」を精査し続けました。
その結果、「扉解錠プログラム、扉解錠方法及び扉解錠装置」として、見事に特許査定を勝ち取ることができました。当時まだ事業規模がどうなるかわからなかった時期に20倍という規模を見据えた先見の明と、トラブルを何度も乗り越えてきた運用改善の積み重ねが、7年越しに「発明」として認められた瞬間でした。
4) おわりに
当初は「守り」のために始まったプロジェクトでしたが、結果としてザイマックスグループの技術力と、事業と一体となった開発体制を証明する形となりました。 今回の経験を通じて、単体の技術だけでなく、ビジネスモデルや運用の「仕組み」自体も特許になり得ることが分かりました。
「新しい事業モデルの創造によるリーディングカンパニーへの挑戦」というザイマックスグループの経営理念の元、今後システムを含めた新たな仕組みを導入する際に、今回の特許取得の経験を大いに活かして、さらなる特許取得等、新しい取り組みができたら嬉しいと考えています。
この記事を読んで、ザイマックスグループのデジタル領域に興味を持った方は、ぜひお問い合わせください!
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