先日、社内有志向けにAWSハンズオン勉強会を開催しました。ザイマックスグループ全体のデジタル推進を担うデジタル推進1部の主な役割は、システムの企画・設計といった上流工程で、実装フェーズは高い専門性を持つパートナー企業と連携しながら開発を進めています。 この体制でプロジェクトを円滑に進めるには、インフラ基盤として使っているAWSへの深い理解が、私たち自身にもとても大切になってきます。
そこで今回、「AWSのサービスをしっかり理解し、構成図を読み解けるようになろう!」という目標を掲げ、部門横断の勉強会を企画・開催しました。本記事ではその取り組みについて、主催者視点からご紹介します!
目的と学習範囲
今回の勉強会で目指したのは、「ビジネス上の要望(ビジネス要件)が、どうやってAWSの構成に落とし込まれているのか」を、参加者のみなさんがしっかり理解できるスキルを身につけてもらうことです。
まずは基礎編として、「AWSの主要サービスの特徴と役割がわかり、構成図を正しく読み解ける」レベルをゴールに設定しました。
AWSには200を超えるサービスがあるため、いきなり全部を学ぶのは大変です。そこで、学習範囲を以下の2点に絞り込み、実務に直結するカリキュラムを目指しました。
- 自社開発で利用している主要サービス
- AWS認定資格(AWS Certified Cloud Practitioner)の出題範囲を参考にした体系的な知識
座学のみでない「手を動かす」ことにこだわった研修設計
勉強会は、2日間のオンライン座学+ハンズオン形式で実施しました。
- Day1: 基本的なWebシステムの構築を通して、AWSの主要サービスを学ぶ
- Day2: 冗長化構成への変更を通して、可用性や耐障害性を学ぶ
知識が「知っているだけ」で終わらないよう、特に以下の3点にこだわりました。
1. 馴染みのある「Redmine」を題材に
ハンズオンでは、多くの参加者が日常的に利用している「Redmine」を題材としました。普段から慣れ親しんだツールの裏側を自ら構築する体験は、抽象的な概念と実際のシステムを結びつける上、とても効果的だったと感じています。
2. 自社環境や自社システムを例にした解説
各AWSサービスやインフラ構成を解説する際には、「〇〇というシステムでは、この部分でこのように活用されています、このような構成としています」といった、具体的な事例を交えてお話ししました。これにより、学んだ知識が自身の業務とどう繋がるのかを、具体的にイメージしてもらえたのではないかと思います。
3. 疑似障害を起こして「止まらないサービス」を実体験
Day2のテーマは「可用性・耐障害性」でしたが、ただ冗長構成を組んで終わりではなく、参加者自身の手で疑似的な障害を起こしてもらいました。Redmineのサービスが継続して動き続けることを、参加者自身の目で確認してもらうことによって、「可用性」や「冗長化」といった言葉だけの理解が、深い「実感」に変わったと感じています。
参加者の声と得られた成果
勉強会後のアンケートでは、前向きで熱量の高いフィードバックをたくさんいただきました!いくつか抜粋してご紹介します。
「説明を聞くだけでなく、構築や冗長化の流れをすべて自分でも体験できたので理解が深まりました。自分が担当しているシステムの構成図もこれまでなんとなく眺めていたくらいでしたが、より意味が理解できるようになったと思います。」
「IAMユーザーは持っていながらコンソールの見方に自信がなく、なかなか触れていなかったのですが、今回の研修で基本的な構造とコンソールの見方がわかったので、実務でもコンソールを開くようになりました。」
「クラウドって形のないものだからこそ、分かったようで分かってない感覚があったのですが、手順ひとつひとつ教えていただくことで実体のあるものを組み立てるみたいに各パーツの役割や繋がりが以前より分かるようになりました。」
一方で、「専門用語が多くて一度に覚えるのが大変だった」「内容が濃く、ついていくのが必死だった」といった声もあり、これらは今後の改善点として、しっかり受け止めたいと思います。
参加者のみなさんが、実際にAWSに触れ、クラウド技術への理解を一歩深める貴重な機会となったのではないかと思います。「パートナー企業とやりとりをするのに少しモヤモヤしていたところが、ハンズオンに取り組めてとてもよかった」という声に象徴されるように、多くの参加者の不安を少しでも解消できたのであれば、主催者としてとても嬉しく感じます。
最後に
今回の基礎編で得られた手応えと反省点を元に、今後はパートナー企業の提案を技術的に評価できるレベルを目指す「応用編」の開催も視野に入れています。また、今回参加できなかったメンバーや、今後新たに入社する仲間にも展開できるよう、内容を継続的に改善していきます。
本レポートが、これからAWSを学ぼうとされている方や、社内のIT教育を企画されている方々の、何らかの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
