1. はじめに
本記事は、ザイマックスデジタルが2028年卒学生を対象として今夏に実施した3Days2026年度新卒インターンを全4回で紹介する連載の第2回です。第1回はこちら。
先端技術コースを受け入れたデジタルイノベーション部は、普段はAI・IoT・データサイエンスといった先端技術の研究開発を行っています。そのなかでも、今回はデータサイエンスを実際の事業課題に適用するテーマとして、当社のグループ会社であるザイマックスインターナショナル(XINT)が運営するからくさホテル札幌の予約データを分析しました。本記事では、インターンの雰囲気や、学生たちがどのような手法を用いて課題に取り組んだかをご紹介します。なお、分析に用いた具体的な数値については割愛させていただきます。
2. ホテルにおけるキャンセル
からくさホテルを含む多くのホテルでは、宿泊日直前までキャンセル料がかからないプランが多いため、予約後に気軽にキャンセルをする人も少なくありません。そのため、より多くのお客様にご利用いただけるよう柔軟に予約の受入数を調整しています。下図は、ある宿泊日における予約の積み上がり方を表したブッキングカーブのイメージ図です。
※このブッキングカーブおよび数値は、課題を説明するためのイメージであり、実際の予約実績を示すものではありません。
問題は、キャンセルの出方によって最終的な着地が大きく振れることです。予約の伸びを見誤ると、客室数超過(オーバーブッキング)のリスクが生じる一方で、直前にキャンセルが集中した場合には空室リスクも生じます。そこで今回のインターンでは、キャンセルに着目して過去の予約データを分析し、データサイエンスによるアプローチでこれらの課題を解決することに挑戦してもらいました。
なお、今回使用したデータは実際のホテル業務システムから出力されたものですが、氏名や連絡先などの個人が特定できる情報はあらかじめ完全に削除・加工したうえで、参加者と機密保持契約を締結し、厳重に管理されたセキュリティ環境下で取り扱っています。
3. ワークの様子
インターンは3~4名のグループワークで実施しました。3日間の大まかな流れは以下の図の通りです。
学生たちはまず、実際のホテル業務システムから出力された予約データの中身の確認からスタートしました。どのカラムにどのような値が入っているのか、表記ゆれや欠損、キャンセル済み予約の記録のされ方などを確認しながら、データの意味と予約調整業務の流れを理解していきました。
そのうえで、「事前決済はすでに支払いが済んでいる分、現地決済よりキャンセル率が低いのではないか」「宿泊日のかなり前からの予約ほど予定が不確実で、キャンセル率が高いのではないか」といった仮説を各グループで立ててもらいました。
各グループが取り組んだのは、「宿泊30日前時点で残っている予約が最終的にキャンセルされるか」を予測する二値分類モデルの構築でした。予約データを30日前時点のスナップショットに変換し、その時点で判明している情報のみを特徴量として使います。特徴量はリードタイム(宿泊日の何日前に予約したか)、予約サイト名、支払方法などで、モデルにはLightGBMを用いました。具体的にどの特徴量がどのくらい効いていたかという結果は省略させていただきますが、仮説通りの結果が得られたこともあれば、仮説が外れることもあり、学生たちはその都度データに立ち返って考察を深めていきました。なお、グループによってアプローチは異なり、回帰モデルを作ったグループもありました。
学生たちはモデルの構築そのものだけではなく、前処理にも時間を使っていました。例えば、宿泊プラン名は運用上多岐にわたるため、あるグループは「素泊まり」「返金不可」などといったキャンセル傾向に効きうる属性をあらかじめ設計し、ルールベースでテキスト処理することで、分類・整理をしました。これによって、1件ずつでは学習に足りなかったデータが属性ごとにまとまり、プランの違いがキャンセル傾向にどう効くのかをモデルが捉えられるようになりました。
最後に、構築したキャンセル予測モデルと分析結果を、XINTのホテル事業担当者をはじめとする多くの社員に向けて発表しました。担当者からは「短期間でここまで実務の感覚にも合う分析結果が出てくるとは思わなかった」と驚きの声が多くあった一方、「実際の運営ではこういう観点も見る必要があり、そこを踏まえるとさらに良くなる」といったアドバイスもありました。現場を知る立場からの指摘は、データだけを見ていては気づきにくいものばかりで、学生たちにとっても大きな学びになったようです。
学生からも、「仮説を立てて分析し、分析結果をもとにビジネス上の施策につなげるという一連の流れを体験することができた」「生のデータならではのクセや難しさを実感した」「途中で行き詰ってしまうかもしれないと思ったが、社員の方が手厚くフォローしてくださったので、しっかりまとめて発表することができた」といったコメントをいただきました。
4. おわりに
3Daysという短い期間の中で、大量の予約データを確認し、分析から機械学習モデルの構築まで進めるのは決して簡単ではありませんでした。社員も議論や分析をサポートしつつ、グループのメンバー同士で知識を共有しながら進め、それぞれのグループで良いアウトプットを出してくれました。
今回のインターンを通じて、教科書用に整理されたデータではなく、実際の事業活動の中で生み出されたデータを扱う面白さと難しさの両方を体感してもらえたのではないかと思います。
ザイマックスデジタルでは来夏もインターンを開催する予定です。データ分析やAI・機械学習を使って、実際の事業課題に挑戦してみたいという方は、ぜひ参加してみてください。
次回は、「不動産マネジメント事業を支えるデジタル」をテーマに、不動産 × DX推進コースの新卒インターンを紹介します。
